笑気吸入鎮静法入門ガイド Q&A

はじめに

人口の約25%が65歳以上という高齢化社会において、有病者の治療を行うことも日常茶飯事となっています。有病者や高齢者の治療を安全に行うためには、患者さんの不安や緊張などのストレスをさまざまな方法により軽減することが大切で、大学病院、総合病院歯科のみならず、地域歯科医療に貢献している臨床第一線の開業医院、そして、その医院を受診する患者さんに安全な医療を提供することが求められています。そのために笑気吸入鎮静法笑気吸入鎮静法を応用することは極めて有効です。本ガイドを活用していただくことにより、医院、患者さんの双方に安全・安心・快適な治療を提供する一助になることを願っています。

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安心して治療を受けていただくために

患者さんへの説明の方法は?

「これからの酸素と混ぜて笑気という麻酔ガスを吸っていただきます。体が温かく感じられるようになりお酒に酔ったような気分になります。非常に安全性の高い方法ですが人によっては気分が悪くなったり…」というような説明を延々と受けてリラックスできるでしょうか?
世の中には麻酔ガスという言葉に拒絶反応を示す患者さんもいらっしゃいますし、「お酒に酔ったような」という説明はアルコールが苦手な方にとっては受け入れがたい方法に感じます。
必要なことですが、あまり説明が詳しすぎると逆に患者さんは不安に感じるので「リラックスするガスを吸っていただきます」、あるは「気持ちが落ち着くガスを吸いましょう」程度にしておくのがよいでしょう。
本方法を初めて経験する患者さんでは、事前に笑気吸入を体験していただくのもよい方法です。

笑気吸入鎮静法のメリット(患者さん編)

笑気は鎮静作用に加えて鎮痛作用を持っています。つまり笑気吸入鎮静法を用いればリラックスすると共に痛みを感じにくくもなります。
笑気を吸入させながら局所麻酔を行うと、「痛みをとるための麻酔が痛い」というジレンマが軽減されます。

笑気吸入鎮静法のメリット(ドクター編)

気分が悪くなったり血圧が上昇したり…といった全身的な不快事項のほとんどは不安感や恐怖心が原因です。笑気吸入鎮静法はこれらのストレスを和らげ、さらに高濃度(70%以上)の酸素を一緒に投与するので治療の安全性を高めます。

精神鎮静法の基礎知識

笑気の特徴は?

①弱い鎮静・睡眠作用と鎮痛作用があります。
笑気は正式には亜酸化窒素(N2O)といい、吸入麻酔薬の一種です。鎮静・睡眠作用と鎮痛作用を合わせて麻酔作用と呼びますが、笑気は弱い鎮静・睡眠作用と鎮静・睡眠作用と鎮静作用を持っているところが特徴です。従って、単独で全身麻酔を行うことはできません。

②効果の発現と消失は極めて速やかです。吸入させると速やかに効果を表し、中止すれば直ちに排泄されるという性質を持っています。吸入中止後数分で帰宅可能となるのはこのためです。

③呼吸器や循環器にほとんど影響を与えません。
肺や心臓に障害を持っている患者さんにも安全に使用できます。

④肝臓には負担をかけません。
多くの薬剤は代謝に際して肝臓で分解され、その結果生じた分解産物の薬理作用についても注意が必要になりますが、笑気は体内でほとんど分解されません。

笑気吸入鎮静法の安全性は?

笑気が麻酔薬として広く用いられるのは、適度な鎮静作用と強い鎮痛作用を持ち、効果の発現と消失が速やかで、重要臓器に影響を及ぼさないためです。
鎮静法ではこれからの優れた特徴を持つ笑気を30%以下という低い濃度で(全身麻酔で投与する場合は50%-70%)、鼻呼吸により(いつでも口呼吸)70%以上の酸素とともに(空気中の酸素濃度は約21%)吸入させる極めて安全性の高い方法です。

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